ファクタリングの手数料の相場を徹底解説。抑える方法も紹介
2025年5月30日
企業の資金調達の手段として便利なファクタリングですが、利用する際は手数料がかかります。ファクタリングの手数料は各社均一ではなく、取引先の信用度や調達したい金額等も考慮して決定しますので、相場を知っておくとスムーズに手続きを進められるはずです。
本記事では、ファクタリングの手数料相場や手数料以外にかかる費用、そして、抑えるための方法をご紹介します。ファクタリングの手数料について理解し、効率よく資金調達を行いましょう。
ファクタリングの手数料とは
一般的に、ファクタリングとは将来金銭で受け取る予定の売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、直ちに現金を受け取れるというものです。売掛金の支払期日を待たずに現金が入る点、そして、金融機関の融資審査のように手間や時間がかからないという点から、企業の資金調達方法の一つとして注目されています。
なお、ファクタリングでは手数料がかかります。手数料額は売掛債権の買取金額に手数料率を掛けた金額となっており、ファクタリングを依頼した企業には手数料分を引いた金額が支払われます。
例えば、売掛債権が500万円、手数料率が10%の場合、ファクタリング会社から支払われる金額は450万円です。
ファクタリングの手数料の内訳
ファクタリングの手数料の内訳は「ファクタリング会社の利益分」と「売掛債権が未回収になった場合の穴埋め用」です。手数料を決める要因については、後ほど詳しく解説します。
ファクタリングの手数料相場について
ファクタリングの手数料率は、ファクタリングの契約内容によって決まります。代表的な2種類のファクタリングの手数料相場は以下の通りです 。
・二社間ファクタリング:買取金額の10%~30%程度
・三社間ファクタリング:買取金額の1%~20%程度
なお、ファクタリングは資金貸付や融資ではないため、現金支払い後に金利は発生しません。
では、二社間と三社間で手数料率が異なる理由を確認してみましょう。
二社間ファクタリングの場合
売掛債権を持つ企業とファクタリング会社の2社間で契約締結するのが二社間ファクタリングです。
ファクタリング会社は売掛債権を買い取ると、すぐに現金を企業側に支払います。その後、売掛債権の支払期日が到来したら、ファクタリングを利用した企業が取引先から資金を回収し、ファクタリング会社に支払う、という流れです。
二社間ファクタリングの場合、ファクタリング会社と取引先のやり取りはないため、以下のリスクが考えられます。
・企業が取引先から売掛債権を回収できない可能性がある
・企業が同じ売掛債権を使って他のファクタリング会社からも現金を得ている可能性がある
・売掛債権が存在しない可能性がある
これらのリスク回避のため、三社間ファクタリングよりも手数料が高めに設定されているのです。
三社間ファクタリングの場合
売掛債権を持つ企業とファクタリング会社、そして取引先の3社間で契約締結するのが三社間ファクタリングです。
ファクタリング会社が売掛債権を買い取り、企業に現金を払うまでの流れは二社間ファクタリングと同じですが、債権回収はファクタリング会社が行います。取引先にファクタリングの利用が知られるという注意点があるものの、売掛債権が確実にあることを確認でき、未回収リスクが低くなるため、二社間ファクタリングよりも手数料率が低めに設定されています。
ファクタリングの手数料決定の要因
ファクタリングの手数料の決定には、二社間・三社間といった種類以外に以下の要因も関係します。・利用する企業の信用度
・取引先の信用度
・ファクタリング会社の能力
・ファクタリング案件の複雑さ
・売掛債権額の高さ
・売掛債権の回収期日までの期間
利用する企業の信用度
これまでファクタリングの利用実績があり、資金も問題なく回収できている企業であれば、信用できるとみなされ手数料が低くなる傾向があります。利用実績が増えるとさらに手数料が低くなる場合もあるでしょう。
反対に「初めての利用」「未回収の履歴がある」「回収はできたが期日遅れがあった」といった場合は未回収リスクが高いため、手数料は高めに設定されます。
取引先の信用度
ファクタリングは確実に売掛債権を回収できるかを最も重視します。よって、取引先の信用度も重要です。取引先が規模の大きい企業や経営状態の良い企業の場合、ファクタリングの手数料も低めに設定される可能性が高くなるでしょう。
しかし、取引先が規模の小さい企業、経営状態が良くない企業であれば、未回収リスクも高くなるため、手数料が高めに設定されることが多くなります。
ファクタリング会社の能力
ファクタリング会社の能力が手数料の決定に関係するケースもあります。例えば「ファクタリングの取扱実績が多い」「持っている情報量が多い」というファクタリング会社は低コストで審査・回収できるノウハウを持っているため、手数料を抑えることが可能です。「AI審査が可能」「インターネット上で手続き可能」のように、コストを抑えた経営ができるファクタリング会社も手数料が低めになります。
また、資金の回収能力が高いファクタリング会社は未回収リスクを抑えられるため、手数料を抑えられます。
ファクタリング案件の複雑さ
「海外企業が関連するファクタリング」「複数の売掛債権を一括で買い取ってもらうファクタリング」のように複雑な案件は手数料が高めに設定されます。
売掛債権額の高さ
あまりにも少額のファクタリングの場合、審査や回収に手間がかかりますので手数料が高くなります。1件あたりの売掛債権額が高い方が手数料を低く抑えられると理解しておきましょう。
売掛債権の回収期日までの期間
売掛債権の回収期日までの期間が長いと、それまでに経営状態悪化や倒産といったリスクも考えられるため手数料が高くなると考えておきましょう。反対に、回収期日までの期間が短いと未回収リスクが低くなり手数料も低くなります。
ファクタリング時、手数料以外に必要な費用
ファクタリングでは手数料以外にも以下の費用が必要です。
・事務手数料
・印紙代
・出張費
・債権譲渡登記費用
実際に利用する際、「思っていたよりも受取金額が少ない」とならないよう把握しておきましょう。
事務手数料
審査や契約の事務手数料です。数千円かかると考えておきましょう。
印紙代
債権譲渡契約書に貼付します。金額はファクタリングの金額によって決定します。電子契約であれば不要です。
出張費
ファクタリング会社の担当者に来社してもらう場合の交通費等は利用する企業が負担します。Web上で手続きが済む場合は不要です。
債権譲渡登記費用
二社間ファクタリングの際、売掛債権の二重譲渡を防ぐ目的で債権譲渡を法務局で登記する場合があります。1件につき7,500円の登録免許税 が必要です。別途、司法書士への報酬もかかります。
ファクタリングの手数料を抑える方法
コストをかけずに利用できるよう、ファクタリングの手数料を抑える方法を押さえておきましょう。三社間ファクタリングを選ぶ
二社間ファクタリングよりも三社間ファクタリングの方が手数料を抑えられます。ただし、取引先にファクタリングを利用することが知られますので、その点は気を付けてください。
複数のファクタリング会社の手数料を確認する
複数のファクタリング会社の手数料を比較して利用する会社を決めましょう。ファクタリングを検討するのは、すぐにでも現金が欲しいという時かもしれませんが、比較する手間を惜しむと高い手数料を取られる可能性もあります。
なお、ファクタリングの手数料は売掛債権の金額、信用度などで決まりますので、ホームページの情報だけでは分からない部分もあります。必ず見積もりを取って比較しましょう。
ファクタリング会社の手数料引き下げキャンペーンを利用する
ファクタリング会社によっては、新規利用などを対象に手数料引き下げキャンペーンを行うケースもあります。各社のホームページに情報が掲載されますので、こまめにチェックしてみましょう。
インターネット上で手続きできるファクタリング会社を選ぶ
インターネット上で手続きできるファクタリング会社は査定費用や人件費等のコストが抑えられるため、手数料が低めに設定されています。
また、ファクタリングの手数料だけでなく、諸費用を抑えることも考えましょう。
対面手続きが必要なファクタリング会社の場合、自社に来てもらう際の出張費を負担しなければなりません。また、書面で契約書を交わす場合は印紙代もかかります。
インターネット上でやり取りができるファクタリング会社であれば、出張費などの費用を抑えられます。さらに、電子契約ができれば印紙代も不要です。
ファクタリングの手数料についてのまとめ
ファクタリングの手数料は、二社間ファクタリングで買取金額の10%~30%程度、三社間ファクタリングで買取金額の1%~20%程度が一般的です。実際の手数料は、利用企業や取引先の信用度、売掛債権の金額、ファクタリング案件の複雑さなどを審査して決定されます。
なお、手数料は各社で自由に決められます。そのため、なるべく抑える方法を知っておくことが重要です。例えば、三社間ファクタリングを利用する、複数社から見積もりを取る、インターネット上で手続きをするなどは、有効な手数料を抑える方法です。
さらに、ファクタリングの手数料以外にかかる費用も忘れないようにしましょう。ファクタリング会社の担当者に来社してもらう際の出張費や契約書の印紙代なども利用企業の負担になります。これらの費用を抑える手段を確認しておくこともおすすめします。
これからファクタリング利用を検討するのであれば、仕組みだけでなく手数料やその他の費用についてもしっかり理解しておきましょう。