ファクタリングのメリット・デメリットは?企業の選び方や流れも解説
2025年5月22日
事業を運営する上で、「急な支払いが発生したけれど手元資金が足りない」「銀行融資以外の資金調達方法を探している」といった資金繰りに関する悩みは少なくありません。
上記の悩みに「ファクタリング」が効果的です。
本記事では、ファクタリングの具体的なメリット・デメリットをわかりやすく解説します。合わせてファクタリング会社を選ぶ際の基準や、利用する際の流れを詳しくご紹介します。
本記事が、御社の資金繰り改善の一助となれば幸いです。
ファクタリングとは
ファクタリングとは、企業がもつ売掛債権をファクタリング会社へ売却し、早期に運転資金を調達する方法です。
企業は事業活動を行う上で、売上があっても入金が数ヶ月先になるケースがあり、手元の資金が不足する事態に陥るかもしれません。
ファクタリングを利用すると、売掛金の支払い期日よりも前に資金を手に入れられます。
その結果、キャッシュフローの改善と資金繰りの安定化につながります。
また、急な資金が必要になった場合にも対応しやすくなるでしょう。
特に、設立して間もない企業や赤字決算の企業にとって、資金調達のひとつの選択肢となりえます。
ファクタリングの種類と仕組み
ファクタリングには「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」の2種類があります。
ファクタリングを利用する際には、自社の状況や優先順位を考慮し、どちらの方式が適しているかを見極めるのがよいでしょう。
2者間ファクタリング
2者間ファクタリングは、ファクタリングの利用者とファクタリング会社の2者のみで契約手続きを進める方式です。
売掛先に知られずに利用できるため、取引先との信用関係に影響がない・資金化までのスピードが早い点がメリットです。
一方で、ファクタリング会社にとっては売掛金の未回収リスクがあるため、手数料がやや高めに設定される傾向があります。
売掛先との関係性に影響を与えずに資金調達をしたい場合や、早く資金が必要な場合に効果的です。
3者間ファクタリング
3者間ファクタリングは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者が合意の上で契約を進める方式です。
売掛先が支払いに直接関与するため、ファクタリング会社にとって売掛金の未回収リスクが低減します。
その結果、手数料を低く抑えられる点がメリットです。
一方で、売掛先の協力が不可欠であるため手続きに時間がかかったり、売掛先に経営状況を知られ、信用関係が悪化したりする可能性があります。
手数料を抑えたい場合や、売掛先とファクタリング利用の合意形成が可能な場合に有効です。
ファクタリングの4つのメリット
ファクタリングには、4つのメリットがあります。
ファクタリングのメリットを理解して、資金繰りの改善に役立てましょう。
以下で詳しく解説します。
自社の業績に関係なく資金調達が可能
銀行融資の場合、申込企業の返済能力が厳しく審査されます。
一方でファクタリングの審査では、売掛先の信用力や支払能力がより重視されるのです。
申込企業が赤字決算・税金を滞納・債務超過の状態でも、売掛先の信用が高ければファクタリングを利用できる見込みがあります。
したがって、自社の信用力に不安がある場合でも、資金を調達できる可能性があります。
資金を調達できるスピードが早い
一般的な銀行融資では、申し込みから融資実行までに数週間から一ヶ月以上を要するケースも少なくありません。
これに対してファクタリングは、資金の調達スピードが早い点がメリットです。
特に2者間ファクタリングの場合、最短で即日、通常でも数日程度で資金化が可能な場合があります。
急な大口の受注で仕入れ資金が不足したときや、取引先からの入金遅延で一時的につなぎ資金が必要になったときなどに有効です。
ファクタリングは突発的な資金ニーズにも柔軟に対応しやすく、事業機会を逃さないためにも役立ちます。
売掛金の未回収リスクを軽減できる
多くのファクタリング契約は「償還請求権なし(ノンリコース)」という条件で結ばれます。
償還請求権なしの契約では、売掛先が倒産するなどの理由で売掛金が回収不能に陥っても、利用者は損失を負担する必要がありません。
ファクタリング会社が未回収リスクを引き受けるため、利用者は売掛金の未回収リスクを軽減できます。
売掛金の回収に関する不安をファクタリング会社に移転することで、企業はより積極的な事業展開を図れるでしょう。
信用情報に傷がつかない
ファクタリングは、借入れとは法的な性質が異なります。
銀行などから融資を受けると信用情報機関に登録され、借入残高や返済状況などが記録されます。
しかし、ファクタリングは債権譲渡にあたるため、信用情報機関に利用の事実が登録されません。
そのため、ファクタリングを利用しても、銀行融資の審査で不利になる可能性は低いでしょう。
また、貸借対照表上でも負債ではなく資産の現金化として扱われるため、財務内容を悪化させないメリットもあります。
信用力を維持しながら資金を調達できるため、事業拡大に向けた銀行融資などを考える企業にとって、資金調達法のひとつです。
ファクタリングの2つのデメリット
ファクタリングの利用はメリットだけでなく、デメリットも理解した上で検討を進めましょう。
利点と注意点を比較し、自社の状況や目的に適した資金調達手段か見極めてください。
以下では、ファクタリングのデメリットを詳しく解説します。
他の資金調達手段と比べると手数料が高い
ファクタリングの手数料には、売掛金の未回収リスク・事務手続きの費用・迅速な資金提供のためのコストなどが含まれます。
一般的に、売掛先に通知しない2者間ファクタリングは、3者間ファクタリングよりも手数料率も高く設定される傾向にあります。
手数料の割合は契約条件や売掛先の信用度によって変動しますが、銀行融資の年利に換算すると高率になるケースも少なくありません。
そのため、ファクタリングを利用する際は、資金調達までのスピードや未回収リスク回避のメリットと手数料のバランスを慎重に検討する必要があります。
緊急性や必要性を考慮し、総合的に判断してください。
売掛先の業績次第で資金調達できない
ファクタリングの審査では、申込企業よりも売掛先の支払能力や信用度が重視されます。
例えば、売掛先が以下の状況の場合は、ファクタリング会社は売掛債権の回収リスクが高いと判断する可能性が高いです。
• 売掛先の経営状態が悪化している
• 過去に支払い遅延がある
• 設立から日が浅く信用情報が乏しい
その結果、ファクタリングの利用を断られたり、買取可能な金額が大幅に減額されたりするケースがあります。
したがって、ファクタリングを申し込む前に、売掛先の経営状況を確認しておくのが望ましいでしょう。
ファクタリング会社を選ぶ際の3つのポイント
ファクタリングは、提供する会社によって特徴やサービス内容が異なるため、慎重な比較検討が求められます。
以下で紹介するポイントを参考にして、自社のニーズに合うファクタリング会社を見つけましょう。
契約条件や審査基準が自社に合っているか
ファクタリングの契約内容は会社によってさまざまなため、契約条件や審査基準が自社の状況や要望に合っているか確認しましょう。
具体的には、債権譲渡登記が必要か・償還請求権の有無・契約期間や途中解約の条件などを確認します。
審査基準については、売掛債権を扱っている業種・必要書類・審査の日数などを把握しておきましょう。
自社がもつ売掛債権がファクタリング会社の審査対象となるか・希望する契約形態に対応しているかも重要なポイントです。
契約内容を細部までよく確認し、不明な点は遠慮なく質問して疑問を解消しておくとよいでしょう。
手数料が相場の範囲内か
一般的に、2者間ファクタリングでは8%から18%程度、3者間ファクタリングでは2%から9%程度が目安とされています。
極端に低い手数料を提示している場合、他の名目で費用が発生したり、悪質な業者であったりする可能性も否定できません。
一方で手数料が高すぎる場合は、手数料以外に発生する可能性のある費用の有無や金額も事前に確認しておきましょう。
見積もりは複数の会社から取得し、手数料だけでなくその他の費用も含めた総支払額で比較検討するのが重要です。
希望の買取金額に対応しているか
ファクタリング会社によっては、買取可能な売掛債権の金額に下限や上限を設定している場合があります。
数万円程度の少額の売掛債権から対応している会社もあれば、数千万円以上の大口取引を専門とする会社も存在します。
自社がもつ売掛債権の額や、調達したい資金額が、検討しているファクタリング会社の取扱範囲に収まっているかを確認しておきましょう。
事前に各社の買取可能額の範囲を確かめ、自社の資金調達の目的を十分に達成できる会社を選んでください。
ファクタリングを利用する際の流れ
ファクタリングを利用する際の一般的な手続きの流れを事前に把握しておくと、スムーズに資金調達を進められます。
ファクタリング利用の流れを、各ステップごとに詳しく解説します。
必要書類を準備して申し込み
ファクタリングの申し込みで求められる書類には、以下があります。
• ファクタリング申込書
• 売買契約書や請求書
• 会社の商業登記簿謄本や印鑑証明書
• 直近の決算書や確定申告書
身分証明書の提出を求められるケースもあります。
ファクタリング会社や契約内容・個別の状況によって必要となる書類は異なります。
そのため、事前にウェブサイトで確認したり、問い合わせたりしておきましょう。
最近ではオンラインで申し込みから契約まで完結できる会社も増えています。
書類に不備があると、手続きが遅れる場合があるので注意しましょう。
ファクタリング会社による審査を受ける
審査では主に、売掛先の信用力や支払能力が確認されます。
売掛先の経営状況・過去の取引実績・業界の動向などが評価の対象です。
利用者も、事業内容の確認や反社会的勢力との関わりがないかなどの点がチェックされます。
審査にかかる時間は、2者間ファクタリングで最短即日から数日、3者間ファクタリングでは数日から1週間程度が目安となる場合が多いです。
審査の結果、買取可能と判断されれば、買取金額や手数料などの具体的な契約条件が提示されます。
提示された審査結果と契約条件をしっかりと確認し、納得の上で契約手続きに進んでください。
ファクタリング会社から入金
入金までの期間は契約締結後、早ければ即日、通常は数営業日以内に入金されるのが一般的です。
2者間ファクタリングの場合、入金後、期日になったら利用企業が売掛先から売掛金を回収し、回収した資金をファクタリング会社へ支払います。
3者間ファクタリングでは、売掛先がファクタリング会社へ直接売掛金を支払う流れになります。
契約によっては、債権譲渡登記の手続き完了後に入金となる場合もあるため、契約時に確認しておきましょう。
ファクタリングのメリットを活用して経営の安定化を目指そう
ファクタリングは、企業がもつ売掛債権を早期に現金化し、資金繰りを改善する有効な手段です。
ファクタリングには資金調達のスピードが早い・自社の信用情報に影響しにくい・売掛金の未回収リスクを軽減できるなど、多くのメリットがあります。
急な資金が必要になった場合や、銀行融資の審査に時間がかかる・融資が難しい状況の企業にとって、ファクタリングはうってつけです。
また、取引先の信用不安から、早期に債権を現金化したいと考える企業にも適しています。
信頼できるファクタリング会社を選び、自社の財務状況や資金調達の目的に合わせて計画的に利用する姿勢が求められます。
自社の状況を把握し、ファクタリングの特性を理解した上で活用すれば、キャッシュフローの改善や事業の成長・経営基盤の強化につながるでしょう。
この機会に、ファクタリングの利用を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。