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2社間ファクタリングの仕組みやメリット・デメリット、利用シーンなどを解説

2024年8月12日

ファクタリングは近年、国内において「借りない資金調達」として政府が推進している資金調達の手法です。
もともとは欧米で盛んだった資金調達の手法ですが、銀行や公的機関の融資などの審査に通りづらい中小企業や個人事業主を中心に、ファクタリングの利用が広がってきました。

ファクタリングには大まかに「2社間」と「3社間」に契約方法が分かれており、それぞれ特徴やメリット・デメリット、手続きの流れなどが大きく違ってきます。

今回は「2社間ファクタリング」について仕組みや、メリット・デメリット、利用におすすめのシーン、3社間ファクタリングとの違いを解説します。
・急ぎで資金調達をしたい
・取引先にはわからないように資金調達したい
・ファクタリングを検討している
当てはまる方はぜひ最後までご覧ください。

2社間ファクタリングの仕組み

2社間ファクタリングの前に、ファクタリングの仕組みについてざっとおさらいしましょう。
ファクタリングとは手元にある売掛債権を現金化する資金調達の手法です。
ファクタリングを取り扱う業者に依頼して請求書を売り、額面から手数料を引いた分を現金化します。

この時、2社間ファクタリングは契約上、ファクタリング業者と申込者の2者のみで手続きが進められていくのが大きな特徴です。取引先は契約手続きには含まれません。

資金調達が完了後、実際に請求書の支払い期日に取引先から入金があります。入金次第、ファクタリング会社に振込をして、2社間ファクタリングの一連の手続きは終了となります。

3社間ファクタリングとの違い

2社間ファクタリングとは別に、「3社間ファクタリング」もあります。
3社間ファクタリングは一連の手続きの中に、売掛債権を現金化する旨を売掛先に伝え、承諾を得るフェーズが含まれます。
簡単に言ってしまえば、ファクタリングの契約に関わる人物が1人増えます。

もう少し細かいところまで触れますと、3社間ファクタリングでは2社間とは違い、債権譲渡登記が不要となります。
そもそも債権譲渡登記は、二重譲渡が行われた場合に先に請求書を買い取った者が第三者へ権利を主張する対抗要件となるものです。
3社間ファクタリングによって三者間での合意が交わされている場合、わざわざ債権譲渡登記をする必要がありません。
3社間は2社間ファクタリングに比べて手数料が低いのが特徴ですが、これも売掛先に通知・承諾を得ることによって未回収リスクが少なくなるというのが理由に挙げられます。

しかし、2社間ファクタリングにおいても「債権譲渡登記が不要」としているところも存在します。
債権譲渡登記については後述しますが、登記不要の場合はファクタリングに係る手数料以外のコストがカットされますので、できれば債権譲渡登記不要のファクタリングを選ぶのが良いでしょう。

2社間ファクタリングのメリット

2社間ファクタリングはファクタリング会社と申込者だけで手続きが進められる資金調達の手法です。そのため、取引先に知られるリスクがないのが大きなメリットですが、他にも償還請求権がない、資金調達のスピードが早いといったメリットもあります。

売掛先に知られるリスクが低い

一つ目は売掛先に知られるリスクが低いことです。
2社間ファクタリングを選ぶ理由として多いのが、「取引先にファクタリングの利用を知られたくないから」というものです。
ファクタリングの利用が知られることによって、資金繰りの悪化を察知され、最悪の場合は取引を終了させられる可能性も否めません。
できれば資金繰りの悪化は知られずに、なんとか資金調達をしたいと考える人が、2社間ファクタリングを選ぶケースが多いです。

ただし、注意点として2社間ファクタリングの契約が「債権譲渡登記あり」となっている場合は、取引先に知られるリスクがあります。
売掛債権を譲渡したことを登記する場合、その事実は法務局で開示手続きを行えば誰でも知ることができてしまいます。
そのため、確実に売掛先に知られないためには「債権譲渡登記不要」もしくは「留保」としているファクタリング会社を選ぶのがコツです。

もし申込者が個人事業主やフリーランスである場合は、債権譲渡登記は必要がありません。あくまでも法人でファクタリングを利用する時のみ債権譲渡登記が必要となる可能性があることだけ覚えておきましょう。

償還請求権がない

2社間ファクタリングは償還請求権のない契約となっていることがほとんどです。
とくに、独立系のファクタリングで取り扱っている2社間ファクタリングは、原則として償還請求権なしの「ノンリコースファクタリング」の契約です。

償還請求権は「リコース」ともいい、もしファクタリング契約時に償還請求権がついていると、万が一売掛先が倒産してしまって報酬が支払われなかった場合、ファクタリング会社は利用者に対して未回収分を請求することができます。
すなわち、未回収の報酬分はファクタリング利用者が負担することになってしまいます。
そうなると利用者側はかなりの負担を強いることになるため、できればこのようなリスクは避けたいところです。

償還請求権のあるファクタリングは主に金融機関や貸金業者が取り扱っている場合が多いです。ただし、中には違法業者が潜んでいることもあるため、独立系のファクタリングで償還請求権のある契約となっている場合は、注意が必要です。

資金調達のスピードが早い

2社間ファクタリングの大きなメリットは、資金調達までの速さです。
3社間ファクタリングと比べて契約の手続きも簡便化されます。
オンライン契約をOKとしているファクタリングであれば、さらに手続きは早くなります。ファクタリングによっては当日振込、最短数時間の振込もOKとしているところも存在するため、ニーズに合わせて選ぶようにしましょう。

2社間ファクタリングのデメリット

2社間ファクタリングは入金が早く、取引先に知られないメリットがありますが、一方でデメリットもいくつかあります。3社間ファクタリングと比べた時のデメリットを解説します。

● 手数料が高め
● 審査が厳しくなる
● 債権譲渡登記で余計なコストがかかる

手数料が高め

ファクタリングには2社間と3社間があることを説明しましたが、両者を比較すると2社間ファクタリングの方がやや手数料が高めになります。
3社間は取引先にファクタリングを通知する契約方法のため、未回収リスクが低くなることが手数料を下げられる一つの要因です。
一方で2社間ファクタリングは3社間ファクタリングに比べてやや未回収リスクが高くなります。このようなリスク面が高くなることから、2社間ファクタリングの方が手数料が高くなってしまうのです。

審査がやや厳しくなる

2社間ファクタリングは審査も厳しくなります。
ファクタリングの審査は基本的には売掛先の経営状況や信用力を重点にチェックされます。そのため、審査においてファクタリング会社が売掛先に対して「きちんと滞りなく支払いをしてくれる」と判断すれば審査に通る可能性が高くなります。
しかし、その一方で、万が一の未回収リスクにも備えないといけません。
前述の手数料と同様、リスク面で2社間ファクタリングの方が審査が厳しくなっているのです。

債権譲渡登記ありならコストがかかる

2社間ファクタリングを利用する際にチェックしておきたいのが債権譲渡登記が必要かどうかです。
前の項目でも債権譲渡登記について触れましたが、2社間ファクタリングはファクタリング業者によっては債権譲渡登記を必要とするところがあります。
もし、登記が必要となった場合には登記費用と司法書士報酬が発生します。
登記費用は売掛債権1件につき7,500円、司法書士報酬は平均5〜10万円が相場です。
司法書士は多くの場合、ファクタリング業者が指定していることが多いため、少しでもコストを下げようと司法書士を選択することはなかなかできません。

しかし、原則2社間ファクタリングで債権譲渡登記を必須とするファクタリング業者でも、場合によっては留保するところもあります。業者によって対応は変わるので、見積もりの際に確認してみると良いでしょう。

2社間ファクタリングの利用がおすすめのシーン

ここまでで2社間ファクタリングのメリットについて解説しました。
資金調達の方法として、2社間ファクタリングはどのようなシーンで使うときが多いのか5つまとめました。

● 取引先にファクタリングを知られたくない
● 従業員の給料の支払い
● 信用情報に問題があり借入ができないとき
● 税金や健康保険の滞納がある
● これから銀行融資を控えている

取引先にファクタリングを知られたくない

「資金繰りが厳しくてどうにかして資金調達をしたいが、なるべく融資は避けたい」
このような場合の資金調達の方法としてファクタリングは適しています。
しかし、手数料が低く審査がやや緩めな3社間ファクタリングは、取引先にファクタリングの事実を知られてしまうことが大きなデメリットです。
そのため、取引先に知られずにファクタリングを利用したい人は2社間ファクタリングの利用がおすすめです。

従業員の給料の支払い

経営状況が順調でも、キャッシュフローが悪化すると従業員の給料の支払いにも影響してしまいます。
給料の支払いが困難な場合に、取引先に報酬の支払日を早めてもらったり、または従業員に給料の支払いが遅れると頭を下げたりと、いろんな対処法がありますが、これらの方法は得策ではありません。信用関係の悪化につながってしまいます。
そこで頼りになるのがファクタリングです。
ファクタリングであれば融資と違い、最短即日で資金調達ができますし、2社間ファクタリングであれば取引先にキャッシュフローの悪化を知られずに利用できるのがメリットです。

信用情報に問題があり借入ができないとき

すでに銀行や公的機関の融資、無担保・保証人なしのビジネスローンを利用している人も多いかもしれません。
これらの融資審査においては申込者の信用情報がかなり影響します。決算書などで財務状況をチェックするのはもちろんですが、申込者自身に滞納などの金融事故があると信用情報がブラックとなってしまい、借入ができなくなってしまいます。
ファクタリングの利用は申込者の信用情報はチェックされません。そのため、現在各種ローンを滞納している状態でも、問題なくファクタリングが利用できます。

税金や健康保険の滞納がある

同じく銀行や公的機関などの融資でチェックされるのが税金や健康保険などの滞納です。
ファクタリング会社は「税金・健康保険の滞納があっても利用OK」としているところも多いため、融資の審査で断られた人への資金調達にもファクタリングがおすすめです。
実際に、税金や健康保険の滞納分に充てるための費用としてファクタリングを利用する方も多くいらっしゃいます。
ただし、一部のファクタリングでは税金や健康保険の滞納がNGとなっている場合があります。申し込みや無料見積もりの際に確認しておくと良いでしょう。

これから銀行融資を控えている

ファクタリングは手元の請求書を現金化する資金調達方法です。
事業を営んでいる以上、どこかでまとまった金額が必要となり、事業を拡大させるときが来るかもしれません。
そのような場合の資金調達は銀行や公的機関などの融資がベストです。
しかし、銀行や公的機関の融資審査は非常に厳しく、他にビジネスローンを借りているなど貸借対照表上で負債が目立ってしまえば、融資を受けられない可能性もでてきます。

そんなときでもファクタリングが役立ちます。
ファクタリングでの資金調達は「負債」にならず、貸借対照表上では「借方」の「現金」の欄が増えます。
もし現在抱えているビジネスローンなどの負債をファクタリングによってクリアできれば貸借対照上の見栄えはグッとよくなります。これをオフバランスと言います。

ファクタリングは融資を控えているときにも非常に有効です。

まとめ

2社間ファクタリングの仕組みやメリット・デメリット、3社間ファクタリングとの違いなどをまとめました。
2社間と3社間、それぞれを比較してみると、2社間の方がやや手数料が高め、審査が厳しい反面、取引先に知られない・資金調達のスピードが早いといったメリットがあります。
法人であれば債権譲渡登記が発生する可能性があり、登記費用や司法書士報酬などコスト面でも負担が大きくなりますが、ファクタリング業者によっては「留保」してくれるところもありますので、2社間ファクタリングを比較する際のチェックポイントに含むと良いでしょう。
また、2社間ファクタリングのおすすめのシーンを整理すると
・取引先にファクタリングを知られたくない
・従業員の給料の支払い
・信用情報に問題があり借入ができないとき
・税金や健康保険の滞納がある
・これから銀行融資を控えている
2社間と3社間のメリットデメリットを理解し、上手にファクタリングを利用すれば、キャッシュフローの改善ができる可能性があります。
ぜひ計画的にファクタリングを利用して、経営を安定させていきましょう。

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